症状によって点滴の投与は異なる

病院で点滴を受けると、風邪が早く治ると考えている人は多いようです。また、点滴をすすめめられたおかげで、風邪による症状が楽になった経験をした人もいるでしょう。しかし、風邪で点滴を行う場合は、胃腸風邪という症状のときや、発熱や嘔吐、下痢があるウイルス性腸炎のときがほとんどです。

なぜなら、点滴をすることで体の水分は失われて起きる脱水症を防ぐためです。点滴は脱水症で弱った体へ、水分を補給するときに有効ですが、多くの場合は風邪やウイルス、下痢等に直接作用する薬は入っていません。また、風邪の症状が、咳や鼻水、咽頭痛の場合で水分摂取が可能な状態であれば、点滴を行うことはほとんどありません。ただし、急に動けなくなってしまった場合や、血圧が普段よりも下がっている場合、尿が出なくなった場合等では、緊急処置として点滴を行うことはあります。点滴の役割は、大量の水分や電解質、糖液や薬剤の投与が、脱水や出血、絶飲食等により必要になった場合がほとんどです。また、血管確保が必要な場合や、持続的な薬剤の投与が必要な場合、術前や術中、術後の静脈路の確保等でも用いられます。そのため、クリニック勤務であっても、大きな医療機関勤務であっても、看護師が点滴を行う機会は多いでしょう。

点滴は血管に針を指して輸液を投与するため、注射よりも難しいと感じる看護師は少なくないようです。しかし、看護業務を行う上で欠かせない仕事の一つなので、苦手意識を持たずにマスターすることが大切です。